【解決】育児休業給付金とは?いつもらえる?だれがもらえる?どうしたらもらえる?
「育児休業をとって生まれたばかりの子供のお世話をしたい。」
「育休で産後の妻の力になってあげたい。」
と思っている方は多いのではないでしょうか?
しかし、足枷となってくるのがお金の問題。
「育休中の収入ってどうなるの?」
「育休をとっても生活できるの?」
「育児休業給付金っていくらもらえるの?」
このような疑問にお答えしていきます。
執筆者
- ファイナンシャルプランナー:主に育児/教育に関して情報を発信
- 執筆者自身も育児休業の取得経験有
育児休業給付金とは?
育児休業中の人は会社からの給料が振り込まれません。育児休業給付金とは、その代わりに雇用保険から支払われる給付金の事です。
雇用保険から支払われるので国民全員が受給できるわけではありませんが、雇用保険に加入しているサラリーマンは基本的に受給可能です。
しっかり制度を理解したうえで、上手く利用し、育児を楽しみましょう!
育児休業給付金の受給資格は?
まずはどういった人がもらえてどういった人がもらえないのかを解説していきます。
育児休業給付金の受給資格
以下が受給資格です。
- 雇用保険に加入している
- 一歳未満の子供がいる
- 育児休業開始前の2年間(24ヶ月間)に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある
- 育児休業中の就業日数が10日以下
雇用保険に加入している
まず前提として雇用保険に加入している方に限ります。
というのも雇用保険からの支給となるため未加入者は受給できません。
つまり、自営業の方や、専業主婦の方は受給できません。
一歳未満の子供がいる
当たり前ですが「育児」休業ですので子供の育児をする人しか受給できません。
産まれたばかりの子供は特に手がかかるため、国が保障する制度です。
実際には手がかかるのは一歳未満だけではないんですけどね。
育児休業開始前の2年間(24ヶ月間)に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある
正社員で働いている人はだいたい満たしているでしょう。
気を付けなければいけないのは、新入社員や契約社員、パートの方などです。
特に新卒新入社員は学生時代に雇用保険に入っている方は少ないと思うので1年目は取れないでしょう。
育児休業中の就業日数が10日以下
「育休中に就業日数?」
って思う方もいるかもしれませんが、どうしても働かなきゃいけないこともあるんですよ。
例えば、育休開始日までに引継ぎが出来なかったとか、自分にしかできないことがいきなり舞い込んできたとか。
働いた場合はその分の給料は支払われますが11日以上働くと育児休業給付金が受給できなくなるので気を付けてください。
育児休業給付金の受給期間は?
原則育児休業開始日から子供の1歳の誕生日の前日まで
期間については、原則育児休業開始日から子供の1歳の誕生日の前日までです。
ただし、こちらは原則で、1歳の誕生日以降も育児休業給付金がもらえる場合があります。
1歳6ヵ月までの延長ができる場合
子供が1歳になる時点で育児休業を取得しており、保育所などにおける待機児童といった理由がある場合、1歳6ヶ月まで延期することが可能となります。
ただし、あらかじめ1歳に達する日の翌日について保育所等における保育が実施されるように、申込みを行う必要があります。
2歳までの延長ができる場合
子供が1歳6ヶ月になる時点で育児休業を取得しており、保育所などにおける待機児童といった理由がある場合、2歳で延期することが可能となります。
ただし、上記同様、あらかじめ1歳6ヶ月に達する日の翌日について保育所等における保育が実施されるように、申込みを行う必要があります。
これらの延長制度は待機児童という社会問題に対応しており、保育所に入所できなかった場合は有り難い制度ですね。
育児休業給付金の受給対象とならないケース
重複する箇所もありますが以下のような場合受給対象となりません。
- 雇用保険に加入していない方
- 新卒1年目社員(在学中も働いていた方は除く)
- 育児休業中に11日以上の就業がある方
- 育児休業に入る前から退職を予定している方
- 育休中でも会社から8割以上の給料が支払われる方
育休中でも会社から8割以上の給料を支払われる方に関しては受給額の計算方法を参考にしてもらうと分かると思います。
育児休業給付金の受給額は?
育児休業給付金の受給額は育児休業開始前6ヶ月の総支給額の平均給料(以下:基準給料)を元に算出されます。
(ボーナスは計算に入れません。)
育児休業給付金の受給額は育児休業中に収入がある場合とない場合で変化します。
(育児休業中に収入が発生するかは会社によりますが、家賃補助などの福利厚生が収入に含まれる場合があります。)
育児休業給付金の受給額は?
育休中に会社から支払われる給料額ごとに、以下の図の4パターンに分けて説明していきます。
パターン1:育休中に給料(収入)が無い場合
基準給料の67%(育休6ヶ月経過後は50%)の受給額となります。
基本的には大体の方がこのパターンとなります。
<例>基準給料30万円の場合の受給額
30万円 x 67% = 20.1万円
パターン2:育休中の給料(収入)が基準給料の0~13%の場合
パターン1と同様、基準給料の67%(育休6ヶ月経過後は50%)の受給額となります。
会社の家賃補助手当てで少額の給料が毎月支払われているなどのパターンです。
<例>基準給料30万円で育休中に1万円(基準給料の約3%)支払われている場合の受給額
30万円 x 67% = 20.1万円
パターン3:育休中の給料(収入)が基準給料の13~80%の場合
基準給料の80%を超えない部分のみが受給額となります。
育児休業中でも働かなければいけない事情があったパターンなどが該当します。
<例>基準給料30万円で育休中に10万円(基準給料の約33%)支払われている場合の受給額
30万円 x (80 ― 33 )% = 約14万円
パターン4:育休中の給料(収入)が基準給料の80%以上の場合
受給できません。
育休中に副業でがっつり稼いでしまった場合などが当たります。
ちなみに育児休業中の副業は法律上は禁止されておらず、会社の就業規則を確認してみて下さい。
育児休業給付金の上限額
2021年2月の育児休業給付金の上限額は以下のように定められており、毎年8月に改定されます。
育児休業開始日~6カ月のとき:支給単位期間1カ月分の上限額は304,314円
育児休業開始から6カ月経過後:支給単位期間1カ月分の上限額は227,100円
育児休業給付金に保険代や税金はかかるの?
育児休業給付金には雇用保険代や年金、所得税等はかかりません。
つまり、受給額そのまま手取りとなるということです。
注意点は、パターン2~4の給料や手当で会社から受け取る分は課税対象となるというところです。
育児休業給付金だけで生活費として足りるのか
育児休業期間が6ヶ月以内であれば足りるでしょう。
先のパターンで6ヶ月以内であれば一番低いパターン1でも67%が維持されます。
しかもこのパターン1では丸まんま手取りとなるため、普段からギリギリの生活をしていない限り十分足りるでしょう。
気を付けなければならないのは育休開始6ヶ月経過後。
非課税といえど基準給料の50%となるので少し厳しくなります。
基準給料が30万円の人の場合、おおよそですが、手取りが22~25万円だったのが15万円となります。
6ヶ月以上育児休業を取得する場合は備えが必要です。
育児休業給付金の申請方法は?
育児休業給付金の申請を行うにはいくつかの手続き、書類が必要となります。
基本的には勤務先がハローワークに社員の育児休業を届け出ます。
しかし、小さい会社や人事が理解していない場合には個人で申請する必要があります。
育児休業の取得は勤務先へ事前に連絡を
法律で育児休業の申出の期限が「休業開始予定日の1カ月前まで(出産予定日前に子を出産したといった事由が生じた場合は休業開始予定日の1週間前まで)」と定められています。
引き継ぎ業務のすり合わせなどもあるので、勤務先へは早めに相談する必要があります。
基本的に勤務している会社が申請
基本的には勤務先に育児休業の申出を行うと勤務先が必要書類を用意し、ハローワークへの提出を代行してくれます。
育休取得者は必要書類を作成するだけです。
勤務先へ事前に育児休業取得の意向と出産予定日を伝えたら、育児休業給付受給資格確認票と育児休業給付金支給申請書を受け取り、必要事項を記載します。
また、育児休業給付金の申請には、給付金受け取り口座の通帳のコピーなど添付書類が求められるので、申請書類と添付書類とを一緒に勤務先に提出します。
2か月ごとに追加申請が必要
育児休業給付金の申請は、初回の申請以外に2カ月ごとの追加申請が必要です。
申請はすべて勤務先が代行しますが、給付金を支給される者は記入や捺印の後、勤務先へ書類を送る必要があります。
最初の申請手続きが完了するとハローワークから、支給決定通知書・次回申請書が勤務先を通じて郵送されてくるのです。
次回申請書は内容を確認した上で署名、捺印し、2カ月ごとに勤務先に送り返してください。
育児休業は産まれた瞬間に取らなくてもよい
余談ですが育休は産まれた日に開始しなくても構いません。
産まれて1週間は入院中だと思いますし、1週間後に開始する人もいます。
また産まれて1ヶ月後にやっぱり育休取らないとしんどいなと感じて取得する人もいます。
上記の場合でも育休を開始して6ヶ月間は基準給料の67%は保障されますので安心してください。
生まれた日から6ヶ月ではありません。
育児休業給付金はいつ受給できるの?
育児休業をとった人で「支給日が遅い!」「本当にもらえるの?」と不安や疑問を感じる方が多いようです。
支給されるのにどのくらいの時間がかかるか把握しておきましょう。
最初の受給には早くても2~3ヵ月はかかる
育児休業給付金とは、育休中に働けない期間において、その収入を雇用保険にて補填するというものです。
なので、「働いていない」「給与を支払っていない」ことを証明する必要があります。
働いていない、給料の支払いがないことは、その期間が過ぎないと証明することはできませんよね。
ですので、支払いが遅いと感じられるのは仕方がないことなのです。
とはいえ、育休期間がすべて終わるまで何も支払われないのでは困ります。
実際には、2ヶ月単位で申請が区切られているので、育休期間の終わりまで待たず、受給ができます。
申請が出されて支給が決定されると、1週間程度で振込みされます。
つまり、少なくとも最初の振込みは、育児休業が始まってから2ヶ月強はかかることになりますね。
一方、会社の担当者が忙しかったり、不慣れだったりで申請が遅くなる場合があります。
2回目以降も原則2か月に1回まとめて
2回目以降も申請をしてはじめて、2ヶ月分が支払われることになります。
ただし、これもぴったり2ヶ月後にきっかり振り込まれるわけではありません。
申請には、再び、欠勤の証明になる出勤簿や給与が支払われていないことを証明する書類などを提出する必要があり、その2ヶ月が過ぎないと申請ができません。
初回は早めに申請され、2ヶ月程度で振り込まれたとしても、2回目以降の申請もスムーズに行われるという保障はありません。
実際に2回目の方が1回目の振込みよりも遅かったというケースもあるようです。
育児休業前の貯金は必要
以上のように、受給できるようになるまで時間がかかります。
また、育児休業給付金の受給だけでは今まで受け取っていた給料よりは減ることはあっても増えることはありません。
事前に少なくとも2~3か月分の生活費は貯金が必要です。
計画的に育児休業を取得しましょう。
FAQ
退職した場合は?
育児休業開始の時点で退職を予定している場合は受給できません。
育児休業中に退職した場合は支給単位期間以降は給付されませんが、それまでに受け取ったものを返還する必要はありません。
育休中に給料を貰った場合は?
上記と重複しますが、まとめると以下です。
育児休業開始前6ヶ月の平均給料の80%以上を受け取った場合、育児休業給付金は受給できません。
育児休業開始前6ヶ月の平均給料の13%以上80%以下を受け取った場合、育児休業開始前6ヶ月の平均給料の80%から育児休業中でも支払われる給料を引いた額が育児休業給付金として支払われます。
育児休業開始前6ヶ月の平均給料の13%以下の場合、育児休業給付金は満額支払われます。
第2子が育休中に生まれた場合
第1子の育児休業が終了となり、第2子の育児休業を始めることとなります。
この場合、第2子の育児休業開始時点にて、受給資格を満たしておけば、育児休業給付金を受給できます。
夫婦ともに育休をとれるのか?とれる場合、育児休業給付金を受け取れるのか?
パパ・ママ育休プラスという制度を使うことでダブル受給することが可能です。
夫婦で育児休業を取得する場合、子どもが1歳2ヶ月になる前日まで、育児休暇を延長できるという制度です。
育児は夫婦での協力が不可欠で、父親の育児休業を推進する制度です。
その他
その他疑問点あれば、厚生労働省の「Q&A~育児休業給付~」のサイトもご参照してみて下さい。
おわりに
今回は育児休業給付金についてまとめてみましたがいかがだったでしょうか。
事前の貯金は必要とは言え、お金が育休を取る障害となりにくいことはご理解いただけたのではないでしょうか。
個人的には家族のためにも自身のためにも育休の取得をオススメします。
ぜひ、人生で多くは味わえない育休ライフを楽しんで下さい!
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